大判例

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東京高等裁判所 昭和57年(ラ)568号・昭57年(ラ)526号 決定

一般的には、賃借地上の建物の所有者であっても、自己の所有する建物に抵当権を設定することは自由であると考えられるが、本件のように、賃借権の目的たる土地の上に存する建物の所有権を競売によって取得した第三者が土地賃借権譲渡許可の申立てをする前に、建物価格及び土地賃借権価格の合計額をはるかに超過する債務を被担保債権とする抵当権を設定し、その仮登記をした場合には、右第三者が土地賃借権を取得すると、土地賃貸人に不利となる虞れがあるものというべきである。けだし、土地賃貸人の立場からすれば、右のように多額の債務を負って建物に抵当権を設定し、その仮登記をした者に土地を賃貸することは、賃貸借における信頼関係を著しく脆弱なものにするし、また、土地賃貸人は、賃借権の譲渡の承諾をしないで、第三者の申し立てた賃借権譲渡許可事件において、建物及び土地賃借権の取得の申立てをすることができるところ、右建物及び土地賃借権を取得したとしても、建物に付された多額の被担保債権の抵当権のため予期しない負担を抱えることになるのであって、ひいては土地賃貸人は建物及び土地賃借権の取得の申立てをすることすら制約されることになるからである。

(山中 岩井 小林)

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